思考プロセス

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読んで得られること


スクラム研修でも紹介される「制約理論」の原典。「ザ・ゴール」の第二弾です。といっても「前作が良かったから…2も読んでみたんだけど…重複ばかりで得るものはあまりなかった」というビジネス本でよくある話とは全く違い、必ず読むべき次章になっています。前作がベストセラーになったので「2」としたい気持ちはわかりますが、原題の「It's Not Luck」つまり「(すごい解決策を見つけられるのは)運ではない!(具体的な考え方があるんだ!)」…の方が、本書を表しているといえます。

とはいえ…ジョナやアレックス、ジェシー…ボブやステイシーなど、おなじみの人物が(かなり出世して)出てくるので…続けて読むと楽しいです。「部長 島耕作」の後に「取締役 島耕作」を読む…みたいな感じですかね。

ザ・ゴール」では、製造業においてコスト会計の考え方を覆し、生産性を高める方法がわかりやすく解説されました。しかし世の中には製造業以外にも多くの業界があり、抱える課題は変わってきます。製造業の中でも事情はさまざまです。時代もどんどん変わっていきます。ですので「同じことをやるだけで改善する」ほど…話は簡単ではありません。

それぞれぶつかる…一見「無理」と思える課題に対して解決策を見つけるための「考え方」や「考えるためのツール」を解説しているのが本書です。思考プロセスの部分をクイックに理解したい方は、コミック版もオススメです。

雲、現状問題構造ツリー、未来問題構造ツリー、移行ツリーなど…様々な考えるためのツールが出てきます。「トヨタ生産方式」の「5つのなぜ」も…問題を見つけるシンプルで強力なツールですが、制約理論のツール群はさらに細かく体系化されています。正直ちょっとした改善のアイデアを詰めるには時間がかかりすぎるツールですが、レトロに煮詰まって…チームの加速が止まっている時などは、活用してみると新たな視点を得られると思います。一番シンプルな「雲」は…物語の中では…子どもたちの日常の悩みの解決などにも使われていますし…振り返りで見つかった課題の掘り下げにはオススメです。思考プロセスを使うのに「変化に対する免疫機能」という考え方を知っておくと更に掘り下げやすくなると思いますので、合わせて「なぜ人と組織は変われないのか」を読むこともおすすめします。

本書には…製造業といっても「印刷」「化粧品」「工業機械」という、事情の異なる業態において…制約理論で生産性を高めた後に必要となる…営業・マーケティングにおける問題解決について紹介されているため、自業務に活かすヒントが満載です。

この思考プロセスですが、「スクラムマスターがチームや組織の生産性を上げる方法を考える」ことだけでなく、「プロダクトオーナーがプロダクトの価値や優先順位を考える」上でも非常に有効なフレームワークですので、是非試してみていただきたいです。

本書の問題解決例は、主に販売でした。つまり顧客がいます。徹底した顧客目線での問題解決…それはアジャイルのマインドセットとまったく同じです。先日…スタートアップをイグジットした元社長さんと飲みましたが…そういう方々は当たり前のように徹底した「顧客目線」を持っています。

組織のアジャイル化に関する名著「AX戦略」にも顧客目線の重要性や安易なレイオフは効果がないこと…などが語られていましたが、本書も同様です。また本書には「売上予想がいかに意味がないものか?」つまり「未来は予想するものではなく、適応して作り出すもの」といったアジャイルに通じる視点も描かれています。アジャイルと制約理論…双方の理解がより深りますので、幅広く読み進めていただくことをオススメします。

本書はオーディオブックで聞くのもオススメです。