マネジメントのためのScrum入門

優先順位の考え方

2022/08/13

優先順位とは?

アジャイルでは、「優先順位」をとても大事にします。アジャイルでなくても…仕事をする上では優先順位は、とても重要です。余計な意思決定やコンテキストスイッチは避けるべき…という話しは以前に書きました。

これを実現するには…マネジメント層は、明確なビジョン…方向性を提示することが重要となります。方向性は、それぞれのプロダクトや仕事における優先順位を決める指針になります。

しかし優先順位とはなんでしょうか?

「優先すべき順番」とだけ捉えると…自分が依頼した仕事の優先順位が下げられると…自分の価値が下がったような気持ちになってしまうかもしれません。偉い人からの依頼は優先順位を上げることになりやすいですが…そういう決め方は本当に正しいのでしょうか?

優先順位とは、「最も効率良く、より多くの価値を生み出せるか?の順位」と考えるべきです。

MVPとは?

Agileの重要なキーワードにMVP(Minimum Viable Product)というものがあります。直訳すると「最低限の価値を提供できる製品」となります。Agileでは頻繁に製品をリリースする…つまり頻繁にユーザーのフィードバックを得て、製品改善につなげていく活動をします。その時の最初に出す製品のことをMVPと呼びます。

しかしこの「最低限の価値を提供できる製品」という言葉を捉えると…迷走しがちです。

「最低限の価値を感じてもらうには…ここもこれもなければ…良さがわからない」として…かなり作り込んでしまうことがよくあります。逆に「MVPだから最低限であるべき」としすぎて…良いフィードバックが得られないこともあります。

個人的にMVPは「必要なフィードバックを得られるライン」で考えるべきだと思っています。次のリリースのゴール…つまり「このプロダクトで◯◯という価値を届ける」という定義は、事前にしてある(しておくべき)と思います。そうするとMVPは「我々の考えたゴールをユーザーは価値と感じてくれるかどうか?評価できる…最低限の製品」ということになります。

製品の最終形を描いて…すべてのバックログを並べて優先順位をつけて、「優先順位に従って…ここまで作ったら、使えるかな」と決めるより、「ユーザーは製品のビジョンを受け入れてくれそうなのか?」という仮説に基づいて考えると、MVPのあり方は大きく変わってきます。

再び…優先順位とは?

もう一度、優先順位を考えてみます。

まず製品のビジョンに立ち返ります。ビジョンには「誰にどんな価値を届けたいのか?」が明確に記されているはずです。そういうビジョンがないなら、そこから定義し直す必要があります。

そして、市場の状況も加味します。
顧客の満足度と品質の関係を考えるには、狩野モデルが参考になります。最初は魅力品質だった機能も…一定期間後に当たり前品質になることも多くあります。「当たり前品質より魅力品質の方が重要」という意味ではありません。その製品の開発段階や市場動向によって価値は変動するということです。価値が変わるのであれば優先順位も変わります。

遅延コストを考えたWSJF(Weighted Shortest Job First)という考え方もあります。「生み出させる価値」だけでなく、「時間的厳しさ」「リスク削減や機会創出効果」を加味して優先順位を評価する考え方です。

「時間的厳しさ」は、どれだけ顧客に待ってもらえるか…と考えるとわかりやすいかもしれません。前述の狩野モデルいうなら魅力品質は当たり前品質よりも時間的厳しさは低めかもしれません。

「リスク削減や機会創出効果」は…ビジネス価値と混同しがちですが…その後のビジネス価値創造に役立つ基礎となるようなものと考えるとわかりやすいかと思います。有名な「7つの習慣」の4象限で言うと第二領域にあたるかと思います。

優先順位の決め方は、とても色々なことを考えて判断しなければならず、とても大変で重要です。ScrumにおけるProduct Ownerは、この優先順位を決め続ける…とても重要で大変な役割を担う訳です。

最初に決めて…ずっとそれを追いかけ続けるのではなく、刻々と変わる状況に合わせて常に…優先順位は見直していくべきものなのです。

※優先順位を変えるタイミングついては次回に…