マネジメントのためのScrum入門

顧客とのAgileの始め

2022/04/09

日本のシステム開発会社にとっての課題

Product Ownerに関する記事で、「Agileとは顧客を巻き込む」ことだと書きました。

日本では…ITは『買ってくるもの』『外部に丸投げするもの』と考える顧客が多いです。もちろんDXが叫ばれ…この考え方の問題に気が付き…ハイブリッドな取り組みも含めた内製化に取り組む中で、Agileなプロジェクトに取り組む会社は増えています。しかしまだまだ多くの会社の『丸投げ文化』のままです。そして『丸投げを引き受けるビジネスモデル』を続けて来たシステム開発会社にとって…Agileの導入は難しい課題になりがちです。

まず、意識が変わらない顧客に対して、システム開発会社が「Agileというものはですね…」と語るのは難しいというのがあります。「変化に対応して、高い顧客価値を提供したい」というのは…システム開発会社がプロとして「最初に変化を予想し、顧客価値を見極め、正確に見積もって、適切な仕事をする」ことができないと言っているように取られかねませんので。

ここは後述しますが、「第三者のチカラを借りる」のが早いかもしれません。

顧客が丸投げマインドだと、丸投げな請負契約を希望しがちですが…もう一つの課題は、システム開発会社自身のビジネスモデルにあります。「ものづくりを請け負う」から「顧客が自主開発する支援をする」ビジネスに転換していく必要があります。

これは、「システム開発会社に仕事を依頼しないで済むようにする」手伝いをすると捉えると、二の足を踏んでしまうかもしれません。自社の仕事がなくなってしまうように思えます。

しかし開発に関する技術やトレンドは進歩し続けています。自社の関連業務だけではなく、幅広い開発を支援する立場だから伸び得る能力もあります。内部人材の強化のため、外部人材と組み合わせたハイブリッドなチーム構成はとても有効です。こういった今後増大するであろうニーズに対して準備を進めていくことが、マネジメント層に必要な判断だと思います。

Agile導入のアプローチ

といっても…顧客を巻き込むことは、言うほど簡単ではありません。

Agile導入で一番効果あるのは「顧客を巻き込んで一体になったチームで価値を追い求める」場合です。この場合、顧客…担当者だけでなくステークホルダ全体に、Agileに対する共通理解を持ってもらうことが重要です。

Scrumにおいては、Scrum Masterが「共通理解を深める活動と責任」を担っています。しかしScrum Masterがその活動を責任持って行えるだけの権限がない…という状況を多く見かけます。

こういう時は外部のチカラを借りるのが早いと思います。

Agileなイベントに関係者を連れて参加する、Agileコーチを呼んで勉強会を実施する、関係者のキーマンにProduct Owner資格を取得してもらう…などです。Scrum Inc. Japanの認定Product Ownerの研修は…それなりに高価ですが…開発会社側が負担してでも、顧客に受講させる価値があると思います。弊社もRSTを取得しましたので、カスタマイズした資格研修の実施が可能ですので、遠慮なくご相談ください。

しかし、「顧客を巻き込む」という行為は、一体となるこで生み出させる価値を顧客が心から期待する状態にならないと難しいです。外部のチカラを借りようと思っても、「我々にはそんな余裕はない…全部任せる」という顧客に無理強いもできません。そんな場合は前回書いたように割り切って、「しっかり要件定義した後に、『要件の変わらないScrum』を実施する」というアプローチでも良いと思います。

大事なことは、マネジメント層が…自社の状況を理解して、どちらにどんなステップで進んでいくべきなのか…理解した上でScrumチームに指針を提示していくことです。

※顧客にとってアジャイルとの付き合い方については次回に…