マネジメントのためのScrum入門

専任のチームを作る責任

2022/03/12

チームの生産性におけるムダとは?

人の仕事には色々なムダがあります。そのうちの一つが「コンテキストスイッチ」…つまり「文脈が変わるのについていくため、脳がリセットする時間」のムダです。人は仕事の文脈が変わると約20%の時間をロスすると言われています。人間の脳はマルチタスクを処理できるようにできていないと…さまざまな研究で報告されています。

優秀は部下には色々な仕事を任せたい…優秀なPMには複数のプロジェクトを任せたい…そんな気持ちになるものです。しかしこの行為は「優秀な人材の持つ大事な時間をムダにしている」といえます。

ですので、Agileなチームが作るプロダクトはできるだけ一つに集中できるようにすることが大切です。

もう一つ大きなムダは「待ち時間」です。チーム外の誰かのアウトプット…例えば「ある工程は外部のチームに依頼して実行してもらう必要がある」といった場合です。価値を生み出さない「待ち時間」というムダは少ないに越したことはありません。

「この工程は、この専門チームに…」とスペシャリストを固めたサイロ型のチーム構成を取る組織は、珍しくありません。この縦割り構造は大量の待ち時間を産んでしまいます。チーム内で多くの仕事が完結できる「機能横断なチーム」であれば、待ち時間を短縮し生産性を高められます。

Agileなチームは「専任で機能横断的であるべき」というのは、こういったムダを排除できるメリットがあります。

得意なことだけやる…ことのムダとは?

自分の得意なことをやることが、チーム全体の利益になり貢献になるはず…そう思う人は多いかもしれません。しかしこのやり方では生産が上がりません。例えば

    • 設計が得意なAさん

    • 実装が得意なBさん

    • テストが得意なCさん

がいるチームが得意なことだけやろうとすると…それぞれ前工程が終わるまで待つことになります。全員同等の高いスキルを持つチームができることは稀ですし、それぞれ得意分野を持つスペシャリストが集まる方がチームは活性化します。Aさんが得意の設計をする際に…Bさん、Cさんは「設計に付随する簡単な作業」は引き受けられるはずです。そうやって…支え合い、学び合うチームは、待ち時間を減らしつつ成長し爆発的な生産性を実現することができます。

このムダを解決できるのは、リーダーシップだけ

ここまでの話は、多くの研究結果から実証されていますし、理解できるかと思います。

しかし「私達の仕事は、そういうふうになっていないから無理」として諦めていしまう人が多いです。

確かに「今…縦に切られている組織を横に切り直す」…これは単なるチーム分けにとどまらず…「製品のアーキテクチャを根本的に見直す」必要が出てくるかもしれません。

現場の開発メンバーやチームを一つ任せられたスクラムマスターだけは、どうにもならないかもしれません。ムダの本質に対処するにはリーダーシップの力が不可欠といえます。

理想像を描き、近づける方法を模索する

「納期が短い」「人材が足りない」などの理由からAgileな組織作りは無理だと感じるリーダーシップもいるかと思います。確かに「完璧に専任で機能横断的なチームだけで構成された組織」を作ることは無理だと思います。

大事なことは、「Why」です。

なぜ、そのようなチームを作るべきなのか?「Why」を理解した上で、少しずつでも理想に近づけるよう…やれることを考えて実行に移すことがリーダーシップの責任です。そのアクションも取らずに、チームに対して「君たちだけでAgileをやってみろ」と言っても…うまくいきません。Agileの成功には、リーダーシップが良いチームを作る責任があることを忘れてはいけません。

そしてチームを作る上で、PO(Product Owner)をどう設定するか…はとても重要となります。

POをどう設定すべきなのか…の話は次回に…